人気ブログランキング | 話題のタグを見る

忘れないつもりでも気がつくと記憶にないってこと、あるから。


by matsugami.
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

【蘇る 古の時計】を振り返る~第4号。

『1895年型 風雅(東洋)』

【文字盤】
【蘇る 古の時計】を振り返る~第4号。_e0019171_1985344.jpg


【裏側1】
【蘇る 古の時計】を振り返る~第4号。_e0019171_191636.jpg


【裏側2】
【蘇る 古の時計】を振り返る~第4号。_e0019171_19181140.jpg


*****

西洋と日本の文化の違いは、鎖国が解かれ文明開化が訪れた明治維新に
大幅にその差が縮まったといえるだろう。
しかし、余りにも長かった江戸時代の風習や生活習慣、趣向などが
一瞬にして完全に西洋化しよう筈も無かった。
一部の人達は別として、やはり大方の人達はすんなりと受け入れられなかったのである。
時計に関しても、その必要性が増していく中でも、西洋で流行っているのと同じ様式の物は
余り好まれず、日本人向けの仕様にする必要があった。
富裕な人々な中には白金師(彫金家)に別注でケースを造らせたりしたのである。
今回の時計もモデルはそういったタイプである。

*****

◆様式の詳細◆

この時計のモデルは江戸時代に武士や一部の豪商が腰に差していた刀剣用の鍔、
目貫などの付属品を製作していた白金師や、煙管金具、女性の着物の帯止め等を造っていた職人達が、
明治の廃刀令による需要の低下や生活習慣の変化などで仕事が減り、
生活の手段として時計や付属品の細工仕事に進出していった事により生まれたものである。

日本独特の色金(赤銅、紫銅、素銅、四分一)や金、銀を駆使し
花鳥風月を風情豊かに表現した物が多かった。
本品も紫銅色の下地に鯉を銀で埋め込み象嵌、水面に浮かぶ花びらは純金色で仕上げられている。
時計を丸窓に譬えれば、庭の池に鯉が泳ぎ、池の端の桜の木から花びらが散り、
揺らぐ水面に漂っている風情が見事に描かれていて、心を和ませてくれる。
このような作品を手掛けた明治期の著名な作家の一人として加納夏雄氏が挙げられる。


◆環(ボウ)と首(ペンダント)◆

環は明治中期頃まで主流であった丸型である。首はドラム型で丸い大きなリュウズを
しっかり支えるように出来ている。これは、当時の時計に使われた太くて強いゼンマイを
巻き上げるのに必要な強度を持たせたからである。時計製造技術の発達で
ゼンマイが細くて薄くなるにつれて、リュウズや首が小さく華奢な物に変化していく。

(本誌より抜粋)

※この時計はアシェット・コレクションがオリジナルで開発デザインしたもの※

*****


【裏側2】の画像で上半分の2ヵ所、下半分の3ヵ所に点在する花びらがあるんですけど
そのイメージを維持して【裏側1】と重ね合わせていただくと実物に近くなります。
全体は黒、中心の鯉は銀、花びらは金‥と綺麗なコントラストなので
ちゃんと写せればよかったんですけど、自前のデジカメ(携帯)では無理だったので
あとは、皆様の想像(創造)力に頼りたいと思っております‥すみません。
by matsugami. | 2009-03-27 14:31 | コレクション